集団的自衛権 2013 2 10
今、政府では、集団的自衛権の行使について、
議論が進んでいますが、
これは、米軍との連携を想定したものでしょう。
たとえば、こういう想定は、どう考えるのでしょうか。
日本海に、国籍不明機が出現。
小松基地から、F15イーグル2機がスクランブル。
このスクランブルによって、
国籍不明機は、領空侵犯をすることなく、進路を変えましたが、
問題は、その後に、起こったのです。
国籍不明機は、実は領空侵犯することが目的ではなかったのです。
進路を変えた先には、成田発で仁川国際空港へ向かっている、
大韓航空の旅客機が飛んでいたのです。
F15イーグルのパイロットには、
すぐに国籍不明機の意図がわかりましたので、
航空総隊司令部に、どうすべきか照会しました。
公海上ではあるが、威嚇射撃してよいか、
あるいは、撃墜してよいかということです。
航空総隊司令部では、どうすべきか激論になりましたが、
結局、場所が公海上であることや、
国籍不明機が狙っているのは、外国の旅客機であることを理由に、
F15イーグルは、何もできないということになったのです。
韓国は、旅客機が撃墜され、
激しい怒りを日本に向けてきました。
「どうして、自衛隊の戦闘機は、助けてくれなかったのか」と。
日本と韓国の関係は、極めて険悪な状態となりました。
朝鮮半島の緊張が極度に高まれば、
こういう想定は、十分、考えられます。
朝鮮半島有事の時は、日本と韓国の協力関係が重要ですが、
旅客機の撃墜をめぐって、日本と韓国で「紛争状態」では、
どうにもなりません。
さて、外国人で、日本の憲法9条の問題や自衛隊法の欠陥を知っているのは、
日本研究者ぐらいなもので、
大部分の外国人は、普通の国の軍隊がするように、
自衛隊も、危機の時は、外国人を助けてくれるものと思っています。
だから、韓国の国民は、日本に対して、
「なぜ、助けてくれないのか。
なぜ、見殺しにしたのか」と激高するでしょう。
激高してしまった韓国の世論に対して、
日本が、憲法9条の問題や自衛隊法の問題を解説しても無駄です。
(参考)
自衛隊の内部規定である「対領空侵犯措置」では、
「外国の航空機が、『我が国の領空』を侵犯した場合は、
スクランブル機が侵犯機を領空外へ退去させるか、
または着陸させるなどの措置を取るもの」とあり、
外国のように「警告を無視したら撃墜してよい」と書いていません。
はっきりしているのは、「退去させる」と「着陸させる」だけです。
では、撃墜できないのか。
それは、解釈の問題となります。
現行の解釈では、「着陸させるなどの措置」の「など」の中に、
撃墜も含むとみなし、
「『領空内』で急迫した直接的脅威が発生した場合」に限って、
スクランブル機は、現場指揮官の判断で発砲ができるとしている。
(参考文献)
書名 スクランブル イーグルは泣いている
著者 夏見 正隆 徳間文庫